2017年8月15日火曜日

しまなみ海道

結論:しまなみ海道は楽しくなかった.

とは,どこを検索しても誰も書いてないですが,事実だからしょうがない.季節が悪かった.暑すぎた.お好み焼きのおじさんが言ったとおり,5月頃なら楽しめるのかもしれないし,自転車の聖地なのかもしれない.
島々にかかる橋は基本怖いので,「天空!」みたいな気持ちになれず,「所詮は単なる吊り橋に過ぎないわけで,どこかが緩んだら,あのはるか下の海流におちるのだなぁ」と通り過ぎることに専念するしかありません.
島は,あくまで人々が日々生活している「島」なので,そこを走っていて何か素敵な出来事が起こる事もありません.普通の生活道路なんです.
暑すぎたのが悪かった,その季節を走った自分が悪かった.ガイドブックでその気になって寄り道したのが悪かった.と,理由は数々ありますが,おそらく二度としまなみ海道に行く事は無いでしょう.
自転車だけで,無料(今のところは)で本州から四国に,無理なく渡れるのは素晴らしいと思います.

・・・前置きが長くなりました.今更読む気にならないかもしれませんが,一応,下記にご報告申し上げます.
広島の夜明けは遅い.札幌より1時間は遅い.サイクリストは早起きだし,涼しい時間に移動しておきたいのだから,夜明けはもっと早くしてもらいものである.
と,文句たれながら朝食を摂っていたら,すっかり明るくなってしまいました.そう思うなら,もっと早くに出ろよと,8月9日当日の自分をなじりたいです.ボトルに麦茶を満載.
6時前に出発.

広島空港は高いところにあるので,時速60kmで下れます.左奥が雲海になっています.
このまま尾道まで快適に進みます.基本的に2号線を行けばよろしい.

森見登美彦の「夜行」にでてくる尾道は怖いところでした.
瀬戸内海には島がたくさん折り重なるようにあって,まさに町並みならぬ,しまなみでした.
今回は上の尾道がStartで,下の今治がGoalです.およそ75km.
駅前で船に乗るところを探していたら,原付のお兄さんに話しかけられ,一緒に船で向島にわたります.この方は,オペラの自転車で飛騨髙山を登りまくっていましたが,盗難にあってしまって自転車に乗る心が折れて,3万5千円の原付で今回の旅行に来ているそうです.
尾道駅前から向島への渡し船から「しまなみ」をながめる.


船の渡し料金は110円.
向島について,いよいよしまなみ海道へ!
サイクリング本番開始!!
テンションが上がります!!!
この時までは.

ゴールまで75km.おおう,平均20km/時弱で4時間あれば着いちゃう?まだ7時過ぎだから午前中に終わっちゃう?これならガイドブックに書いてある名所に寄り道して楽しまないとねー.後でぐうの音も出なくなると,教えて上げたいですね.
ブルーラインが車道側に書いてあるのが頼もしい.自転車が受け入れられている感が心地よい.ここに戻ってこれば良いと,心に余裕ができすぎて,ついつい寄り道したくなる.


時間的に超余裕があるので,岩子島に寄ってみます.手掘りのトンネルが鍾乳洞のような怖いような素朴なような,早く出たくなる感じでした.

まだまだ時間も体力も超余裕!と,後先考えない若者のようになってしまっています.登りだけど島だから大した標高じゃないはず,と高見山へ向かったのが間違いでした.この暑さですべきことではありません.大人の判断ができない私.
高見山への道はすごい斜度.「あと1.4㎞」が絶望的な距離.おそらく20%近い斜度だったのでは.だんだん暑くなってきて具合悪くなってきた.残り300mで無念の断念.高見山は厳しすぎ.こんなん勧めやがってと,ガイドブックのせいにします.

高見山ですっかりやられたので,もう余計なことはしないと心に誓いました.これで,今回のしまなみ海道への態度が決まりました.今治まで,ただ,通り過ぎようと.


最初の橋を渡って因島へ.ここは上が車道で下が自転車.道路に継ぎ目があってそこから海面が見えてしまいます.怖いです.

ちなみに橋へのアプローチはこんな感じで車とは別の道路です.原付も一緒に通ります.上りですが3%くらいに抑えてあって,よく考えられています.

橋の上から海上保安庁の船を眺めます.自転車なら橋の上で止まってじっくりと見ることができます.

因島に上陸.向島で寄り道とヒルクライムはこりたはずなのに,またも山の上の観光地へむかってしまいます.しまなみといえば村上水軍.そのお城の形をした資料館へ.中はエアコンが効いていて,いい休憩になりました.

陽が高くなり,本格的に暑くなってきて,いきなり疲れてきました.6個の島のうちまだ2個目であることを思い出し,もう心の余裕の貯金は残高ゼロです.
しかし,それでも懲りず,やっぱ「いんおこ」でしょ! 遠回りしてお好み焼き屋さんが沢山ある土生町へ.有名店らしい「越智」に入りました.
お店のおじさんが話上手で気分転換になりましたが,重大なことを告げられます.
「最後の大島には峠があってつらい」のと,「そこから今治に渡る橋はアップダウンがあって,風もあって大変だよ」と.つまりは,最後につらいことが待っているという絶望的な情報です.楽観的な,観光的な気持ちは完全に失われました.気分的にはノックダウンです.

エネルギー補給して「やる気と勇気が100%になった」と自分に言い聞かせて生口島へわたります.瀬戸内海はけむっていて,あまり見晴らしが良くありません.
スコールのような雨が降ってきました.若干ですが暑さが和らいでありがたい.でもすぐにやんでしまいました.
平山郁夫美術館は,サイクリング道路沿いにあるので遠回りしないですみます.
もう完全にオプショナルな楽しみを求める気持ちはありません.はやく今治につきたい.暑いんだもの.

美術館は庭がすごくきれいでした.展示されている瀬戸内海やシルクロードの絵は見応えがありました.おすすめです.
美術館を出て,なかなか次の大三島への橋に上るところに着かないなーと思っていて,ふとブルーラインを見ると,目的地が「今治」ではなくて「尾道」になっているではありませんか.暑さでボッとして,橋に上るところを通り過ぎて7-8kmくらい逆走してしまっておりました.
したくない寄り道を,またも,してしまいました,てへっ.
自己責任なんですが,これで余計に10km以上走るかと思うと,モチベ下がりまくりです.
はやく今治に着きたい.
そもそも,生口島のブルーラインはやるきがなくて途切れ途切れになっていて,ブルーラインがちょっとでも見えさえすれば大丈夫と思い込み,ましてや,橋の向こう側にも別のブルーラインが引いてあるとは,今までになかった展開で,そこへぼんやりしていたら今治だの尾道だのって見間違えるわっっっっっ!ブルーラインは幹線道路一本だけにしていただきたい.

事前に地図を見たときは,大三島は走る距離が少なくて物足りなそうだから遠回りしちゃう?みたいなこと考えていましたが,むしろ短くてうれしいです.

道路沿いにある名所なら,はりきって見ますよ.遠回りしなくていいからさ.
甘崎城の島.干潮なら渡れることもあるみたいです.
私の表情で,多少は暑さが伝わるでしょうか.

大三島はさらっと走って,伯方島へ渡ります.ここはアーチ橋.
塩で有名な島ですが,暑くて倒れたくないので,さらっと短い距離を走ります.なんのネタもありません.

いよいよ最後の島の大島へ.どうやら今治の到着時間は16時半ころになりそう.
大島の峠はなんとかこなせました.
レンタサイクルの観光客がけっこういるのですが,普通の格好で普通のクロスバイクでこんな過酷なサイクリングをする彼らを見て,君たちすげーよと心の中で賞賛してあげました.早く今治につきたいので,大島でもネタはなし.通り過ぎるだけです.村上水軍の博物館も渦潮体験もカレイ展望台もどうでもいいです.

最後の橋です.なんだかすごく長いぞ.吊り橋だぞ.風が吹いたら,渦を巻いてる海に落ちるぞ.あの二本のケーブルだけで,道路を引っ張ってるなんて,なんておそろしい.
疲れているのでNegative Modeでお送りしております.
 ケーブルを今治側で引っ張って固定しているところ.あの二つの塊が3連の吊り橋を支えているなんて.がんばれー.
そのケーブルが塔にかかり,橋全体を引っ張っている.橋マニアにはたまらんでしょうね.
今治に上陸!昼頃に着くかも知れなかったはずなのに,すっかり夕方.
それだけ,しまなみを楽しんだってことでしょう.

広島-尾道30km+しまなみ海道75kmで,まっすぐ走れば105kmくらいのはずが50kmも余計に走ってしまいました.しかも10時間近くかかっています.瀬戸内海の暑さ,恐るべし.倒れず,到着できてよかった.

今治城は営業時間が終わってしまいました.手前のサイクルスタンドはしまなみに6体あって,それぞれ独特の格好をしているそうです.

突然,売店の猫ちゃんが駆け寄ってきてくれました.
旅先における猫は,なんて癒やされるんでしょう.猫一匹がなんでこんなにうれしいのでしょう.

「ハル」ちゃんは,看板猫らしく愛想の良いです.
かわいいです.
最後まで読んでもらって申し訳ないのですが,今日はもう,猫でいいです.猫が全てさらっていってしまった感じです.

明日は高知へ行く予定です.荷物満載で,暑い中,山を越えられるのか?よさこいが始まる昼までに高知に着けるのか??




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